大渓谷と奇岩の旅‐T

1983年の年末休暇だった。まだ健在だった、パン・アメリカン航空のマイレージを使って、家族5人の無料航空券とレンタカーの割引券をゲットできた。

東海岸から早朝の便に乗り、時差3時間を利用して、西海岸はロスへ昼には到着した。空港でレンタカーを得て、ロスの市街を外しながら、国道15号へ入り、一気にラスヴェガスへ向かう。250マイル(380キロ)の道のりを走る。礫砂漠を抜ける舗装路でスピードは正に毎分1マイルと測った様に走行すれば法定スピードなのだ。

カリフォルニア州のこの道路近くには軍の施設も有るらしいが、見える距離にはない。トレーラーのドライバーが休むスナックが所々にあって、そこで、水やビスケットなどを買う。
夜の闇が迫る頃に、ネヴァダ州境を越えれば、小さなカジノの灯りが見え始める。次第にネオンの数も増えて、煌々と光るカジノ街のラスヴェガスの中心のヒルトンホテルで泊まる。宿泊割引券も利用できる。

翌早朝の出発で、いよいよアメリカの誇る自然公園へ向かう。15号線に再び戻り、間もなくアリゾナの州境を越える。

ここで、時計を一時間進ませる。10マイルも北上して、今度はユタ州へ入る。

ユタ州の最初の見所は州道9号線に入ったZion国立公園。<写真→>

巨岩がそそり立つ渓谷だ。時折り雨がばらつく生憎の天候だが、岩に挟まれた空が狭い。

そんな曲がりくねった道を抜けて、更に北上すれば、小雪に変ってくる。

次第に赤味を帯びた岩山には奇岩が置かれるようにあり、ドライブしても飽きない。

小さな町すらも途中には殆ど無い。あっても人の姿を見ずに国道89
号から州道12号を継いでBrice Canyonへ入る。

アメリカの自然公園で最も美しい公園と云われ、最も美しい雪の季節に訪ねる幸せを味わう。

駐車場に車を置いて、雪道を展望台へ子供らの手を取って行けば、誰も居ない雪の積もった展望台からは、手付かずの奇岩の林立が眼下に広がる。白い雪をのせた赤い岩が広大な谷の底を覆っている。

再び小雪の舞うカタラクト渓谷やアメリカインディアン居住地のNavajoを走り、モニュメント・ヴァレー入口のBluffのホリデーインへ向かう。
この辺りの唯一の宿で、予約が取れたのが幸運であった。このホテル以外は何にもないので、ここで夕食を済ます。

ホリデーインの部屋は全米のどこでも同じ間取りで子供連れにはうれしい大きなサイズ。

クイーンベッドが二つあって、エキストラベッドや持参の子供ベッドも置ける広さがある。部屋のチャージだから、この田舎では、家族五人が一泊50
ドル以下で泊まれる。ここでは2泊した。

電熱器も持参したので、長い夜の夜食に持参の即席麺などを開ける。


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<途中のDixie Forestの奇岩 ↓>

<Brice Canyon