句集『縞馬』:日本のサファリ<2014年(平成26年)−6>
10月末から11月にかけていくつかの一泊旅行があった。
恒例の波俳句会の吟行は榛名から伊香保へのバス旅行で、好天下の上州路を巡った。榛名神社の奇岩、榛名湖と榛名富士には多くの句材があった。
その他、11月は高幡不動や神楽坂、大庭城址、根津美術館などの吟行もあって、盛り沢山の日程だった。
6年振りの有明会の旅行は解禁された越前ガニを食べるのが主目的だ。新幹線の米原経由で武生に向かい、そこから、親戚筋でもある大江戸の大将の歓待を受け、正に食べきれない越前ガニを満喫した。この旅では石葺き屋根の丸岡城、紅葉の那谷寺と永平寺、一乗谷の朝倉氏遺跡なども訪ねた。
錦秋の径や布袋の腹光る
古筆切の君が代なぞる秋燈下
秋日射し磁器の花咲くガラス棚
突堤は鰯日和となりにけり
天高しイルカは跳ねてよく鳴けり
エコノミークラス満席神の旅
短日や沖待ち船の灯が点る
鮟鱇の軟骨しゃぶる外は雨
冬ぬくし英語で歌う舞台の子
福井県は統計的に幸福度の高い県とかは聞いていたが、車から見ただけだが、生活レベルや余裕は感じられた。
大将の弁を聴きつつ冬の蟹
滝ひとつ添えてもてなす竜田姫
彩りてゴルフカートを追う木の葉
鶏冠めく安達太良山の雪化粧
滝三条その音だけの冬の山
新雪の裏磐梯の貌険し
水鳥を隅に浮かせて五色沼
理事長は会津の殿か霜の芝
榛名湖を丸ごと抱く竜田姫
群馬県の高山のゴルフは生憎の雨模様で1日だけのプレイになった。翌日は更に激しい雨だったので、ゴルフを止めて、代わりに近くの草津温泉でひと風呂浴びた。
高山しぐれ吾のゴルフもしぐれけり
湯畑に灯籠ひとつ冬ざるる
木の樋に湯の花咲いて冬の雨
もみ湯もて肩をもませる冬うらら
<草津温泉の湯畑>
抜け道をいくえも塞ぐ女郎蜘蛛
<那谷寺の紅葉↑><永平寺にて↓>
脚タグが証し越前蟹侍る
天守より眺む越前紅葉晴
雪吊の綱の白さや加賀へ入る
豆柿や蓮如の里の門徒衆
仙境と名乗る岩山紅葉せる
限りなし紅葉かつ散る永平寺
大広間見わたす達磨の眼玉冴え
福島県の母成高原ゴルフ場は裏磐梯と安達太良山の間に造られた日本有数の美しいコースだ。紅葉末期ではあったが、薄っすら雪を被った四囲の山々と、紅葉の林とが素晴しい景色を成している。クラブハウスに置かれた英語の本でも世界で有数のゴルフ場として紹介されていた。
プレイ後に五色沼の一部を廻ってもらった。そして、宿は田部井淳子さんの経営する沼尻ロッジで、豊富な湯量での源泉かけ流しも堪能した。
山々の粧い競う水鏡
<榛名神社の奥の院へ>
秋澄むや湖畔の宿の二人像
凩や開けっぱなしの勅使門
枯すすき一乗谷の栄華消す
ほの点るエジソン電球冬ぬくし
<ヤマハ教室の英語発表会>
桶風呂は露天でぬるめ冬隣
赤ジャンが手を振る夢二のアトリエで
<ボナリ高原ゴルフ場>