春愁や富士顔面の噴火痕    春宵一刻富士残照のシルエット    吹かれ落ち吹かれ転がる紅椿

 

    飛び降りて着地しなやか孕み猫    人声の消えし校舎や花三分 



コロナ禍や霞む地球の今日明日   飛花落花南御殿場無人駅    テレワークとて一息や犬ふぐり 



    休校の事務員今日は垣手入れ     スーパームーン眼鏡外せば朧月  



休業を決めて朝寝の飲み屋街   春満月少し冷えたる出前ピザ   蟄居して沈思黙考諸葛菜  



    自粛とて夏日マスクの息苦し     ひっそりと腹見せ並ぶ貸ボート 



ゴールデンウイーク伊豆急の空走り   バナナ喰う猿のソーシャルディスタンス   茂る今日閉店のラーメン屋 



    炎帝へデモの掲げる擲り書      日銀の外へ外へと小判草   



休業の続く歯科医や枇杷熟れる     六月やコロナマスクの通学児    焼酎や丸い氷がよく回る 

3月以降は新型コロナの影響で、それまでの世界とは様変わりしてしまった。

202017日、世界保健機関 (WHO) は、201912月に中国武漢で発生している疾患の原因であるウイルスを2019-nCoV2019 novel coronavirus の略称)と命名した。

このウィルス感染者は、中国から欧州へアジアへ、更に、南北アメリカ大陸へ広がった。都市をロックダウンし、国を封鎖し、人の移動を抑えて感染防止した。それでも医療従事者の努力を越えて、医療体制の崩壊やその危機の状況が、ネットなどで、その日のうちに全世界中に共有された。

日本は外出自粛要請を発して、感染防止を図るも、連日の報道で新型コロナの恐怖で、人々の講堂はすっかり委縮した。

馴染まなかったマスクが世界中に広がり、透明ビニールの壁越し接客など、今までに無かった異様な状態の世界に移りつつある。

経済活動にも大きなブレーキが掛かり、世界大戦やリーマンショックを越える打撃に襲われた。6月になって、ようやく日本も県を越える移動が出来るようになったが、世界的にはまだまだパンデミック状態にあるとWHOは警告を発している。

 世界中で、これに対する治療薬とワクチンの開発・普及が待たれている。

句集『縞馬』:日本のサファリ<2020年−3

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