今回は初参加やご夫婦での参加もあり14名の参加者がありました。

今年も大下さんが高野山への素晴らしい旅を作ってくれました。新大阪駅で集まりそのまま南海電鉄で高野山を目指しました。標高900mの高野山は高い所でした。南海電鉄は橋本辺りからは山登り電車で最後は勾配30度のケーブルカーでやっと辿り着きました。昔の道はもっと遠回りの山道で、その名残を大門の前の崖に見ることができます。昔の人たちはこの急な坂道を上り詰めた所に忽然と現れる大きな大門にさぞ驚かされたと思います。このお山の上にかなり広い平坦な場所を切り拓き多くの僧坊を建てたのは驚きです。大門の内と外では全く異なる世界があるというのも高野山の魅力なのでしょう。町外れには熊野路がありました。ここからも山伝いに熊野へ歩いたのでしょう。この旅は皆の行いが良い為か天晴で寒さもありませんでした。

到着後皆揃って根本大塔・金堂・御影堂から金剛峯寺を見て歩きました。ここの一番奥に明神社という神社があります。これがこの場所の原点ではないかと言う有馬君の説が興味深いものでした。その後高野山の北側にある高野御室と称される光台院を見せていただきました。快慶の阿弥陀三尊を拝み、高野山には多い重森三玲のお庭も見て、裏にある豊臣秀次の墓もお参りしました。

翌朝の宿坊での朝6時からの読経も思ったより寒くなく参加させていただきました。

2日目はグループで回るのと個人で回るのと分かれて昼食までの半日を過ごしました。奥ノ院や建ち並ぶ僧院を巡ったり、霊宝館を訪問したり、大門まで行ったりと、最も歩いた人は2万5千歩も歩きました。少なくても1万5千歩位は歩いたでしょう。それぞれが高野山を歩いたことでお山の空気だけでなく多くのものを吸収しました。町で売られている高野槇の枝を束ねたものについては原田君が調査してくれました。槇は造るのが苦労で育てるのにも時間が掛かるそうで、枝は仏前に供えるのだそうで水さえ替えれば長持ちするそうです。高野山には普通の塔は無く、多宝塔ばかりなのか?などの疑問には大下さんだけでなく、仲間から意見が出たりと楽しい会話がありました。

最後に同期で亡くなった柴良全和尚は高野山のどこで修業をしていたのかな?

(以上、片岡 弘道 記)

<南禅寺・山門にて>

<金剛峯寺にて>

<重森三玲の庭>

<小堀遠州の庭>

春暁や高野全山経の声       幹男

春風につややかさ増す高野槇    幹男

高野山くだりて今朝の寒戻り     幹男


結界を行きつもどりつ黄蝶かな    展子

三昧院下る道筋蕗の薹       展子

奥ノ院遍路姿に春ひかる      展子


啓蟄やまたぞろ集いて寺巡る    愚克

結界の内にも外にも春来る     愚克

寒暁や勤行努る宿の坊       愚克


湯に渡る宿坊の庭冴返る      恭子

春浅し笑いさざめく高野道      恭子

春灯に乱れ歩きの肩を寄せ      恭子


時空超え天空の聖地芽吹く山    美枝子

勤行終え眺むる石庭春の光     美枝子

奥の院杉肌に聴く千年の声     美枝子


お山にて春の匂いを級友と     弘道

大門の旧道の彼方春景色      弘道

大門に古人(いにしえびと)の春思ひ 弘道



土ゆるみ語る武者たち奥の院    孝禮

鶯とお助け地蔵女人道       孝禮


ケーブルカー笑う山から落ち来る  萬地郎

燭仄と阿弥陀三尊春めきぬ     萬地郎

囀りや哀話あまたの女人堂     萬地郎

(以下、 大下恭子 記)

夕方には高野山から下りて新大阪駅で4人帰京し、10人でいつものコープイン京都に。6時半から居酒屋で夕食会。この修学旅行も今年で4回目ですが、1回目には初めてお話しした方もあったのに、会食を重ねるたびにすっかりうちとけて、最後には大声で笑い合いながらホテルに帰りました。

最終日は残念なことに雨で、無鄰菴、南禅寺を回り、高野山と違って広々とした京都らしい庭を歩きました。早春の雨の庭も、これからの芽吹きが想像されて、案外いいものでした。高野山が3月にあんなに晴れて暖かいのはめったにないそうで、それで満足しないといけませんね。実感したのは、やはり私たちの修学旅行は寒い時がいいということでした。このごろ世界一の混み方と言われる京都も、1〜3月初めまではがらがらで、無鄰菴、南禅院などは貸し切り状態でした。みなさん、寒さにめげず、来年の比叡山にもおいで下さいね。

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<高野山・宿坊にて>

第四回 修学旅行(2016年3月7〜9日)

南禅寺草木にしみる春時雨     千恵麿

春雨と笑顔の友や胡麻豆腐     千恵麿


春雨や見上ぐる楼門友の声     幹男


催花雨を待っているのは石楠花か  展子

叡山にいだかれ春を待つ離宮    愚克

京の雨古草庭を友めぐる       恭子

無鄰菴苔むす庭に紅椿       美枝子

小流れに鳥の恋あり無鄰庵     萬地郎


春雨や友に感謝の京土産      道雄