モンタナ州

最後の日は、三日ぶりの風呂を露天風呂で味わった。この辺りは温泉鉱脈が多い。30m程の四方を柵で囲われたプールのような風呂である。その真ん中に、斜めに噴水のように放物線を描いて湯が上から落ちてくる。冷却もあって、温度は丁度良い。ビールなどを湯船に持ち込みながら薄暗い中で楽しむ、いかにも西部の風呂といった感じ。しかも、混浴。観光客も入る8月は水着を付けるとのことだが、この季節はほとんど地元の人達で、素っ裸である。たまたま、水着のまま入ろうとした人に、裸のカウボーイが濡れたタオルを投げつけていた。
薄暗い中で、日本人と見出し、私に因縁を付ける荒くれがいた。「パール・ハーバー』と云って迫ってくる。酔漢である。Jackとガイドが庇って事なきを得たが、まだまだそんなしこりが残っている保守的な西部を見た。私は平静であったが、Jackは大変に気にしてくれた。
彼はその後、この土地に仕事を求め、今でもこの自然の中の生活をしている。

釣り上げし鱒を称えてまた川へ


back
鱒とJack
next
句集「サファリ」のtopへ

モンタナ州は”Big Sky State”と云われるように、空が180度広がって見える大西部である。厳冬期を除けば、アウトドアスポーツの最高の州だと聞く。そのイエローストーン川で釣りを楽しんだ。
季節は9月、友人のJackと行った。そこで、フィッシング・ガイドを三日間雇って、一緒に野宿をしながらの釣り。先ずボートを川の上流に浮かべ、それに乗って下りながら毛鉤、フライ・フィッシングをする。Jackはボートの舳先から、私は艫から投げる。ガイドはボートを操りながら、ポイントへ運んでくれる。鱒釣りである。時には、渓流に入って、胸までのゴム靴を履いて足を滑らさないように竿を振る。Jackは次々と鱒を釣り上げる。50cm以上の大物ばかりだ。ヒットを捉えるのが実に上手い。彼は日に15匹くらい竿を撓らせながら、鱒との格闘を楽しんでいる。
私は、三日間で15匹。しかも、毛鉤ではヒットすることが出来なかった。錘を付けない毛鉤は竿の扱いが難しいのだ。事前に練習はしたのだが、本番では狙ったポイントへ毛鉤が落ちない。途中から、ガイドの提案で、ルアーに変えた。これだと、錘があるので、狙いがきく。それでも、獲物の多い浅瀬で、底石と水面のわずかな間隔に仕掛けを泳がすのには手こずった。慣れるに従って、釣果は上がってきたが、相手は鱒ではなくて、ホワイティングと云うウグイに似た雑魚である。鱒はたったの三匹だった。二人は同情してくれたが、自分としては大いに楽しんだ。
そして、大きな自然の川下りは忘れられない。上流は既に雪があり、下るに従って、次第に季節を逆に行くように、黄葉の山々へ変化する。

鹿鳴くや露天の風呂の柵高し