109日(8日目)

<タンニンの赤が水底に見える>

 カメラは完全に狂ってしまった。このカメラを信頼して二台目のカメラはスーツケースに入れたまま陸送でプエルト・オビダスに送ってしまった。朝食事にツアー仲間に良い写真を後で電送をお願いしていた所、添乗員が「私のカメラを使って!」と貸してくれた。私のメモリーカードに入れ替えて、この最後の観光日に使わせて貰った。これ以降は彼女から借りたカメラで撮ったものです。感謝です。

 午前中はボートクルーズでカナイマ湖の七つの滝を巡る。30分ほどだったが、雨で増水した豪快な滝は中々に迫力がある。全てアウヤンテプイに源をもつ赤い水だが、今日は水量が多くてその赤は分り難い。ホルヘ隊長の話で、タンニンの多い赤い水で、養分が少ない為に、大きな魚や樹木はこの界隈には無いとの事。河原の石、滝壁やテプイの絶壁も赤いのはそのためだ。さらに、冗談めかして、「この水を飲んできたので、我らの肌も赤い」と云っていた。

<アウヤンテプイ上の割れ目>

 離陸して、暫くは緑の草原にテプイがとびとびに見え、やがてアウヤンテプイの壁を抜けてエンジェルフォールが見え始めた。滝口に雲が少し架かっていたが、二回目のアプローチ飛行では雲が外れ、全貌が見える。しかも、滝が飛沫に変る中ほどに虹が架かっている。素晴しい光景に息を呑む思いだ。

 次は小型機でのエンジェルフォールの遊覧飛行で、今回も3機に分乗してアウヤン・テプイへ向かって飛行する。前回のサンタエレナからカナイマへの飛行より午前中の為か雲が少ないので、期待できそうだ。

 東京23区程の面積がある悪霊の山と云われるこのテプイにはいくつもの割れ目、奇岩がある。ヘリで下りた南のクケナン・テプイに比べて、草木の緑が見える。飛行は40分程だったが大いに満足した。このパイロットも着陸前にカマイナ湖で低空飛行をしてくれた。

 近くのスーパーマーケットで土産など買うのを、現地の旅行社が手伝ってくれた。今回の旅でクレジット・カードは使わなかった。ベネズエラの通貨(ボリバル)の公定レート(約6,25VEF/$)が実質的に機能しないのだ。空港の銀行窓口も閉鎖されていた。旅では私達の手持ちのUS$札を旅行社を通じて(15VEF/$)で両替してくれた。
 首都カラカスのホテル脇のこのスーパーマーケットでも値札が日々更新されている。急激なインフレが進んでいるのだ。日本の石油ショック時の狂乱物価時と同様にトイレットペーパーを買い求める客が多い。このスーパーでの我々の買い物ではレジにて、女性社員が先ずボリバルを支払い、それに見合った闇レートのUS$を彼女へ支払う変則的な体験をした。チャベス大統領没後、こんな状況が加速したらしい。

滝水へ斜めに迫るセスナかな

レジ過ぎてドル替えの立つ暑さかな

<機上からのエンジェルフォール2景>

<プエルトオリダスへ向かう機窓よりカナイマ湖の全貌>

 カマイナ空港に戻り、プエルト・オルドス行きの定期便に乗り換えて、そのまま帰国モードとなる。機上からは眼下に金鉱の発掘場や大きな水力発電施設が眺められた。

 プエルト・オルドス空港で、陸送されていたスーツケースを受け取り、カラカス行の便に乗り換え、約一時間でカラカスへ向かう。この機窓からはカリブ海の光が眩しいほどだ。カラカスのホテルは一流のホテル・マリオットだ。

英雄はなべて独裁露けしや

10月10・11・12日(9・10・11日目)

悪霊の山一条の滝落す

<エンジェルフォールへ注ぐアウヤンテプイを流れる赤い川>

 やがて飛行機はエンジェルフォールへ流れ落ちる赤い川に沿ってアウヤンテプイの上を低空で飛ぶ。

<ボートクルーズにてカナイマ湖の七滝>

 早朝4時のモーニングコールで5時にホテルを出発し、往路と同じメキシコ・シィーのトランジットをホテルで休養し、ティファナ経由の深夜便で成田へ向かった。エアロメヒコ社の機体のボーイング767はこれが最終飛行便だったとCAが云っていた。

 疲れたが充実した思い出多き旅となった。

大地果て一気に三千尺の滝

落ち切れぬ滝の高さや虹立てり

<カナイマのコッテジにて>

<カナイマ空港にて>

七滝を集めて赤き湖なせり

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